事業承継をうまく実行するためには、M＆Aにより事業承継を行う時期を明確にすることが重要です。

そして、いったん事業承継を行うことを決めたら親族間で争いが生じたり、従業員や取引先の信頼を失うことのないよう合理的な理由がない限り変更しないようにします。

経済は生き物であり、会社の経営状況も刻一刻と変化します。

会社の売却価格も経営状況により大きく変動します。

通常、会社の売却価格は利益の何倍というように算定されますので、赤字の会社には値段が付かないこともあります。

したがってM＆Aを行う時期としては、利益が出ていて会社の業績が好調な時に行うことが重要です。

M＆Aの買収相手が見つかるまでにはある程度のまとまった期間が必要であるため、事業承継の準備はできるだけ早くから取り組むことが重要です。

M＆Aを利用した事業承継を行う場合に、買収候補企業を探すことは簡単ではないし直接買収候補企業と交渉をすると足元を見られることも多いので、通常M＆Aの実務支援やアドバイスをしてくれるM＆Aアドバイザーである仲介業者を利用します。

M＆Aの仲介業者としては、銀行・証券会社等の金融機関やM＆Aの仲介専門業者があります。

金融機関は収益性の点から売買価格10億円以上の案件の取り扱いを中心としていますので、中堅・中小企業の案件ではM＆Aの仲介専門業者に依頼することが合理的あるといえます。

M＆Aの仲介専門業者の選択に際しては、仲介専門業者の報酬体系と担当者との信頼関係を基準にして選ぶことが一般的です。

仲介専門業者を選ぶときは、業務従事に際して着手金を取る業者や専任契約を求める業者もいますので、選択に際しては事前に確認することが必要です。

M＆Aのディールを進めていくなかで、さまざまな交渉局面で綿密な打ち合わせが必要であり、コミュニケーション不足により適切な行動を行えなかったことが原因で、買収候補企業から不信を招いてディールが破談になることもあるので、 コミュニケーションが取りやすい担当者を選択することも重要です。